充填材料と施工方法の適用性

飛島建設株式会社名古屋支店  和田幸二郎

1.充填工法の概要

 ここで述べる充填工法は、キラ充填工法とよばれ、日本で初めて亜炭廃坑などの大規模な地下空洞の充填に成功した工法である。キラ充填工法とは、充填孔を通じて地上から空洞内に母材のキラ、固化材および水を練り混ぜたスラリー状の充填材を注入・固化させる工法をいう。詳細についてはホームページの技術解説欄の空洞充填工法の項目を参照していただきたい。充填材にキラを用いる理由は、これが砕石や珪砂を取った残りの副産物であるため安価に手に入ること、粒度が小さく均質であることからスラリー状での流動性、材料分離抵抗性、低ブリージング特性および固化体としての所定強度の確保などの品質面で優れているためである。図-1に亜炭採掘跡を対象とした充填工事の概念を示した。この工法は、これまでに東海地方の亜炭廃坑対策を中心に約50万m3の実績がある。表-1および表-2に、工法の基本となる充填材の品質目標値と標準配合を示す。

図-1 充填工事の概念図
表-1 充填材の品質目標
表-2 充填材の標準配合





図-2限定充填工法の概念図

 一方、限定充填工法は、充填材の流動性を制御することで対象範囲から外側の空洞部分への充填材の大量流出を防止する工法である。施工手順は、最初に流動性を制御した充填材(端部材)を空洞内に注入して対象とする空洞範囲の境界線上に隔壁を形成する。その後、内部に流動性の高い充填材(中詰材)を注入して空洞の一定領域を充填する。充填材の流動性を制御するには従来の充填材に水ガラスを添加し、そのゲル化作用を利用する。

2.充填工法の適用性とコスト

表-3 設備規模別能力(参考)

 充填の経済性は、充填孔設置のためのボーリング対象地盤の地質・深さ・本数に、また使用するプラント設備の規模により大きく左右される。特に、プラント設備については、施工の効率と充填材の製造コストなどを考慮して計画する必要がある。過去の実施例では表-3のような能力の設備に大別される。