地下空洞と浅所陥没

空洞の分類

自然空洞鍾乳洞:石灰岩の中に形成された洞窟。割れ目や層理に沿って流入する地下水によって石灰岩が溶食され、不規則な形状の空洞が形成されたもの

ドリーネ:石灰岩台地などに分布する漏斗状の穴。直径200mに達するものもある。地表からの溶食によるものと、地下の鍾乳洞の拡大により地表が陥没して形成されたものがある。またシラスのように水を含むと劣化し易い地層の場合、地下に水の流れが形成され、その拡大により地表に陥没を生じた例もある。

溶岩トンネル:固結した溶岩流の中心部にある長いトンネル状の空洞。溶岩流の表面が冷却固化しても、中心部は流動して溶岩流の先端部へ流出するので、全体が固化した時その一部に空洞が残る。富士の風穴は有名である。

タフォニ(風化洞窟):凝灰岩など比較的軟質な岩石が、地表からの浸透水や風力によって浸食され形成された洞窟(大橋, 2005「充てん」46号参照)
人工空洞
(地下街・トンネルなどの
構造物を除く)
金属鉱山などの採掘跡:脈状・塊状・層状など鉱床の形状によって採掘跡も異なる。多くは山間地にあるため、陥没による被害は少ない。

石炭・亜炭などの採掘跡:炭層は層状で、広い範囲に分布する。平野部やその周辺に広がっており、採掘跡の崩潰による地表沈下や陥没の被害が多い。

石材などの採掘跡:花崗岩や大理石などの固い石材は、一部を除いて露天で採掘される。大谷石など凝灰岩質の石材は地下深くまで採掘されたものもあり、しばしば陥没被害を生じている。

防空壕などの地下壕:特殊な目的で掘られた壕を除けば、大部分の地下壕は地下浅所にあり、比較的軟弱な地層を掘ったものも少なくない。崩壊・陥没する危険性も大きい。

浅所陥没を起こしやすい空洞の分布と産状

御嵩町の亜炭坑坑内
(東海大学アイダン オメル教授提供)

1.石炭・亜炭鉱業の盛衰

2.東海地方の亜炭田の分布

3.空洞が陥没しやすい条件