ボーリングの計画

ボーリング調査計画模式図

 ボーリングの計画は、それまでの予察結果と物理探査結果を基に作ります。右の図は、地下壕のように、坑口の位置が確認されていて掘進方向も予想できる場合と、亜炭空洞など広い範囲内の空洞の位置を調査する場合の、ボーリング計画を模式的に示したものです。
 地下壕の場合は坑口と掘進方向からボーリング地点を選定するのが最も効果的です。推定した方向に空洞がなければ、左右に2m程度ずらせてチェックボーリングを掘り、空洞の延長を確認して行きます。1箇所で空洞を確認できれば、空洞カメラなどで壕内の状況や延長方向を観察し、次のボーリング位置を決めることも可能です。空洞カメラの紹介はこの頁の最下段にあります。
 亜炭空洞の場合は、物理探査測線を基にグリッドを作成し適当な間隔でボーリングを掘削します。物理探査で物性の異常が確認された地点を含めるのは勿論です。この場合は、調査面積に較べボーリングの数は限られていますから、空洞にあたる確率は決して高くありません。ですから1本1本のボーリングコア試料の観察が非常に重要です。また物理探査結果の信頼度の評価も欠かせません。

ボーリング調査

ボーリングは空洞調査での基本手法で、標準貫入試験を併用することでかなりの情報が収集できます。期待される情報は
・地層の正確な層序の把握
・掘進中の地盤状態変化
・掘進中の逸水状態
・地下水位の把握
・N値の変化
・採取試料観察
・空洞内の状況
などで、逸水状況に注意することは空洞探査の第一歩です。
それぞれのボーリング結果は、予察結果と対照して、地層の対比や地質構造の推定を行います。空洞が存在する亜炭層を把握できれば、亜炭層の地下構造を推定することから空洞の連続性を調べることが出来ます。

ロータリーボーリング

ロータリーボーリング
(スピンドル型)
(冨士開発(株)提供)

 写真のロータリーボーリング(スピンドル型)は、最も広く使用されています。目的に応じてビットの種類や口径を変え、コアチューブを取り付けて、スピンドルで回転と圧力を与えて土や岩を掘進します。比較的狭い場所でも作業が可能で、騒音や振動も少ない利点があります。深度100m程度までは掘削できます。また空洞の確認を目的とするチェックボーリングでは、コアの採取を行わず必要に応じて貫入試験を実施する程度で十分です。

標準貫入試験

標準貫入試験 
(冨士開発(株)提供)

 動的貫入試験で、ロータリーボーリングと同じ機会を使用し、貫入試験用サンプラーを所定の深さに下ろし、63.5kgのおもり(モンケン)を75cmの高さから自由落下させ、30cm貫入させるのに要した打撃回数を測定してN値とします。N値は地盤の相対的強度を知る指標として広く使われており、空洞の近くの地層の緩み具合を判断するのにも有効です。

空洞カメラによる観測

空洞カメラで撮影した地下壕内部

 水のない地下壕の場合、1ヶ所で空洞を捕捉したら、空洞カメラを使って写真を撮り、空洞の掘進方向を測定することが出来ます。
 右の図は空洞撮影・計測作業の概念をしめしたもので、カメラゾンデをボーリング孔から降下させ、ビデオカメラで空洞天盤通過を確認の後、カメラ位置を固定して20度間隔で周回させ空洞の拡がりや崩落状況などを撮影します。
 写真撮影と同時に、レーザーレーダーによる形状計測を行い、距離・方位・深度情報なども画面に表示されます。

空洞撮影・計測の概念図
(川崎地質(株)提供)