充填技術センター理事長 川本朓万

 9月19日に、岐阜県御嵩町比衣地区の畑で亜炭廃坑の崩壊によるすり鉢状の浅所陥没(盆状沈下)が発生した。陥没現場の状況を示すと写真―1のようであり、地表面での陥没端縁を示す亀裂は、東西40m、南北30mの矩形状の範囲に生じ、陥没の最大深さは約1mで、中央部はやや沈下が小さく、窪みは2つの部分に分かれているように見られる。また、亀裂の南側にある民家(木造二階建て)の周囲のコンクリートにひび割れが入り、床が傾くなどの被害が出ていて、廃坑崩壊による影響は観察された亀裂よりさらに外側の広い範囲に及んでいると考えられる。

写真1 陥没地全景
写真2 沈下の大きい箇所(その2)
写真3 亀裂(左側が沈下)

 御嵩周辺には戦中戦後にかけて掘られた亜炭坑(昭和15年頃には、小さな町に44鉱山、63坑口にまで膨れあがっている)の採掘跡が数多く存在し、採掘終了(昭和43年に全山閉山)より40年以上が経過しているが、廃坑内岩盤の劣化の進展に伴う空洞の崩壊により、御嵩地区内の各所に浅所陥没や地表沈下が発生している。今までに御嵩町亜炭廃坑地震対策専門委員会で調査された廃坑分布、浅所陥没位置および既往ボーリング位置を示すと次図のようである。