3.新技術の開発

3-1 あらたなリサイクル材料の活用

 全国には石炭鉱山の廃坑、大谷石のような地下採石場跡、戦時中の地下壕などの空洞が各地に残り、ときに陥没などの被害が発生している。これらの各地の空洞に充填工法を適用するためには、東海地方のキラに代わるあらたなリサイクル材料を活用することが必要になる。この研究は室内試験を中心として、充填材のフレッシュ性状、強度特性および環境安全性について検討したものである。
 その結果、表-4に示すように、各地の砕石工場で発生する脱水ケーキ(東海地方の粘土キラに相等)、火力発電所の石炭灰、溶融スラグおよび下水汚泥焼却灰などが適切な配合の設定で所定の品質を満足することがわかった。なお、表中の調整材とは、リサイクル材料のみを母材とした場合、リサイクル材料が比較的単一の粒径であるかまたは粒径が大きいことが原因で材料分離が大きくなるものについて、粒度調整のために添加した細粒土(粘土キラまたは脱水ケーキ)をいう。

表-4 新材料の代表的な配合と品質試験結果の例
3-2 急結剤を用いた急勾配充填材
図-3 端部材充填後の形状

 急勾配充填材の開発は、宇都宮市の大谷石砕石場跡の道路直下の空洞を効率よく充填するニーズが発生したことを契機に行われた。前述した限定充填工法の水ガラスを用いた充填材は、緩慢な流動性低下のために高さが高くまた侵入水のない空洞の場合、端部材のすそが広がり、膨大な充填量となる問題があった(図-3)。






表-5 端部材の標準性能(勾配の違いによる比較)

 本技術は従来の充填材に急結剤を添加することにより、セメントの水和反応を促進させることで充填材の流動性を大きく低下させ、端部材で急勾配の隔壁を形成するものである。最初に室内試験で基本特性を把握し、屋外で実大規模に近いスケールで打設試験を行って性能を確認した後、実工事に適用し、良好な施工結果を得た。
 充填工事の実施例については磐越道で実施された工事例を別にご紹介するので、充填工事情報(その2)をご参照頂きたい。

                      (2008年2月記)