“キラ”とは?
キラというのは、瀬戸地域などで珪砂と粘土を選別採取する時に排出される粘土混じり微砂の俗称です。つまり珪砂と粘土の中間の粒度の副産物と言えるでしょう。この中には白雲母(キララ)の細片が混じっていることからキラと呼ばれるようになりました。1970年代には、環境維持のためキラの排出が厳しく規制されることになり、その再利用が大きな課題になっていました。
キラ充填工法の始まり
キラ充填工法は、日本で初めて亜炭空洞のような大規模かつ複雑な地下空洞の充填に成功した工法です。この工法は水没した空洞の充填も可能です。その開発については沿革をご覧下さい。
主な充填材として使用されたのは前述のキラと、山砂利を骨材原料として選別する際に分離・濃集される粘土でした。充填材として使用される時は、前者を砂キラ、後者を粘土キラと呼んでいます。どちらも十分な粒度管理がされており、最近の試験データでは、50%粒径が0.01mm以下で、最大粒径は2mm以下という結果が出ています。材料の粒度が小さくかつ均質であることが、充填効率を高め、施工管理を容易にしたといえましょう。また天然の堆積物が原料ですから、有害成分はきわめて少なく、環境にやさしい素材と言うことができます。
空洞充填に求められる条件
地下空洞の充填に求められたのは、空洞水の有無に関係なく、注入時には空洞の隅々まで充填するだけの流動性を保ち、一定時間後に固化して必要な強度を維持するような充填材の開発でした。試行錯誤の結果、最初の試験充填の時には、固化材として石膏と石灰が使用されました。これは粘土などシリカやアルミナに富む物質の水溶液に石膏や石灰を加えると、時間の経過にともないスラリーの水分を取りこんで、硫酸塩や炭酸塩などの水和鉱物が生成され固化するという性質を利用したものです。試験充填後1ヶ月で検証のために実施された掘削の結果、下の写真のように、空洞は小さな隙間に至るまで充填されており、必要な強度も発現されていることが明らかになりました。
試験充填の成功により、充填工事が各地で実施されるようになり、工法も次第に改良されて現在に続いています。なお固化剤は、一般にセメント系のものが使用されています。
工法の具体的な内容は下の説明図をご覧下さい。
参考文献
改訂版 空洞充填施工マニュアル(2004), 日本充てん協会