限定充填工法の開発

 キラ充填工法を基に、特定の範囲だけを充填する限定充填工法が開発されました。この工法は、国土交通省の東海環状道建設工事に先立って、可児御嵩インター予定地の地下に広く分布する亜炭空洞の充填のために建設技術センターの委託を受けて開発された工法で、道路予定地下の空洞に限定して充填を行うことを目的としています。同じキラ材を使いますが、充填スラリーの流動性を押さえるために水ガラスを使用したのが大きな違いです。また充填施工の場合、まず対象となる空洞分布域の外縁の空洞を低流動性のスラリー(端部材)で一つ一つ充填し、残った内側の空洞を流動性の大きなスラリー(中詰材)で一気に充填する2段階方式を採用しています。東海環状道可児御嵩ICの充填工事で初めて使用されました。限定充填工法と言っても充填材にキラを使う点に変わりはなく、これに特殊水ガラスを加えて流動性を調節し、周縁部を流動性の低い端部材で充填し内側を通常の流動性スラリーで充填するものです。これによって充填スラリーが充填必要範囲を越えて流出するのを防ぎ、効果的に工事を進めることが可能になります。端部材と中詰材の原料配合例を下に示します(単位:kg/㎥)。なお実際には400kN/㎡という基準強度を満たす充填材も製造されています。

用途と基準強度粘土キラ砂キラ固化剤水ガラス強度
100kN/㎡端部材360180 kN/㎡ 9048.8432
100 kN/㎡ 中詰材340170 kN/㎡ 10012.2429

(改訂版 空洞充填施工マニュアルより)

参考文献

杉浦・石合,2001, 水中弱流動性充填工法の試験施工;「充てん」41号
杉浦・山田,2003,東海環状可児亜炭坑充填工事を終えて;「充てん」44号

限定充填工法のイメージイラスト
(飛島建設㈱提供)

端部材の充填

 限定充填工法で最も重要なのは、充填対象域の外周を端部材で閉塞する点でしょう。下の模式図に示すように、端部材は狭い範囲に堆積・固化しますから、短い間隔で充填材が重なり合うように充填しなくてはなりません。端部材の充填間隔は8m前後とされています。

削孔工の重要性

ロータリーパーカッション
(冨士開発(株)提供)

 端部材の充填に非常に多くの削孔作業が必要なことはお分かりになったと思います。ですから限定充填工事の実施には高い能率の削孔工が求められます。
右の写真はロータリパーカッションの装置です。これはロッド先端に取り付けたビットに圧力をかけ、ハンマーの自重も利用してビットを回転させながら地盤に打撃を与え、高速度で土や岩を掘削するもので、作業能率がきわめて高い点が特徴です。当然ですが、地層の判定には向いていない欠点があります。
 また衝撃式のため騒音が発生するので環境への配慮が必要です。コンプレッサーや水タンクなどを設置するので、作業エリアが大きくなることも配慮せねばなりません。未開発の造成地などでの作業に適していると言えます。