1.限定充填工法の概要
「限定充填工法」は充填材の流動性を制御することで、対象範囲外の空洞への充填材の流出を防止する工法です。
流動性充填工法の充填材は高い流動性を有することから、空洞内を均質に隅々まで充填できるのが特徴でした。しかし、空洞率が高く広い空洞の一区画を充填しようとすると、その流動性が災いし、充填材が対象範囲外にまで大量に流出するロスの発生が課題でした。
限定充填工法は岐阜県可児・御嵩地区における東海環状自動車道の建設を契機に開発された工法です。その建設にあたり、同地区に広く分布する亜炭廃坑の空洞の存在が問題になり、(財)先端建設技術センター内にその対策を検討する「亜炭坑施工技術委員会」が設置されました。委員会では、空洞充填で対策を行うことを基本方針とし、その際に対象となる道路範囲から外側空洞への充填材の流出を極力制限することとされました。これに応募したのが飛島建設(株)で、流動性充填工法による施工実績をもとに新技術の限定充填工法を提案しました。そして、試験施工等を経て委員会で審議され、正式な対策工法に採用され、施工が行われました。
限定充填工法では、充填材に加えた水ガラスと固化材とのゲル化反応を利用して流動性を制御し、地下空洞の限定された範囲を充填します。通常は、最初に充填範囲の外周に沿って低流動の充填材(端部充填材)による隔壁を形成します。その後、内部または背面に高流動の充填材(中詰充填材)を充填して一体とします。図1に残柱式亜炭廃坑を限定充填工法で充填する場合のイメージを、図2に端部充填材による隔壁の断面を示します。
充填孔から注入された端部充填材は、空洞天盤まで立ち上った後、注入圧力によって水平方向に拡大されます。理想的には図1および図2のように円錐台の形状を成します。このときの側面の勾配は、亜炭廃坑のような1~3m程度の空洞高であれば、ほぼ一定の勾配(1:n)になることがわかっています。充填工事の計画では、充填材の空洞内での広がりを適切に予測し、計画充填量を設定することが重要です。しかし、流動性充填工法では、空洞底面に勾配がある場合や、残柱、壁あるいは坑内の岩屑などの障害物の状況により、充填材の流動方向や充填量を精度よく予測することが著しく困難な場合があり、その結果、計画充填量と実施充填量が大きく乖離することがあります。これに対し、限定充填工法では、隔壁で対象範囲を取り囲むことで、空洞内の充填材の形状をある程度想定できるため、充填量の予測が比較的容易にできる側面もあります。

図1 限定充填工法の施工イメージ(透視図)(飛島建設(株)提供)

図2 限定充填工法の隔壁断面
2.材料
充填材の材料については、関連ページ『キラ充填工法』をご覧ください。
3.施工方法
施工方法については、関連ページ『キラ充填工法』をご覧ください。
4.品質目標値と配合
限定充填工法の充填材(端部充填材、中詰充填材)の品質目標値を表1に、これらの品質目標値を満足する配合の例を表2に示します。なお、工事に際しては、実際に使用する材料を用いて室内配合試験等を行い、配合を決定する必要があります。
表1 限定充填工法の充填材の品質目標値

表2 限定充填工法の充填材の配合例

5.特徴
キラ充填工法としての共通の特徴である①~③に加え、限定充填工法特有の特徴として④~⑦を挙げることができます。
① ブリーディングが少ないため、空洞天盤との間に隙間がほとんど発生しません。
② 水中における充填性に優れています。
③ 副産物の粘土キラ、砂キラを利用するため、材料費が安価で、環境負荷低減にも有効です。
④ 事業用地の範囲などを対象範囲にする場合、その外側の空洞への充填材の大量流出を防止でき、コスト低減にもつながります。
⑤ 隔壁の形成と充填材の圧力注入により、空洞天端に密着した充填ができます。
⑥ 特殊水ガラスの使用により、長期耐久性を確保できます。
⑦ 端部充填材のゲル化により、水中不分離性が向上し、周辺の水質保全に有効です。
6.実績
実績については、関連ページ『キラ充填工法』をご覧ください。