地下空洞直接観察・計測手法の紹介

川崎地質株式会社  小松幹雄

 物理探査により地表から地下空洞位置を探る方法は、近年コンピュータ技術の発達により、複雑な解析が短時間でなされるようになり、多くの手法が提案されてきている。しかし、探査原理に対する地形や埋設物などの外部要因により、必ずしも明瞭な結果が得られるとは限らないのが現状である。また、探査により地下空洞 の位置が求められても、内部状況までは確認できないため、直接観察できる効果的手法が求められている。
 ここでは、空洞内部の直接観察と空洞内部測量が可能な調査手法を紹介する。

1.空洞カメラ-空洞内カメラ・レーザ測距装置-

写真-1.装置先端部

 本装置はボーリング孔を利用して空洞内部を観察・測量するもので、写真-1に示すように、長さ約1.5m、直径80mmの金属製の筒の中にモニターカメラ、方位計、スチールカメラ、レーザ測距機をビルトインしたものである。
 カメラの先端部と側部にはCCDカメラが取り付けられており、機器の挿入は先端のCCDカメラにより孔底方向を確認しながら行い、空洞内部は横方向のカメラを回転させることにより観察する。(下段に続く)*

写真ー2 空洞のステレオ写真例
写真ー3 レーザー測距に対応する地下空洞内部

* 横方向の照明は光度調整式のハロゲンライトにより行うが光量の関係で遠くを観察できない(最大10m程度)ことと、光源の色温度が低いため実際の色調が再現できない欠点がある。詳細な、空洞内観察はスチールカメラ撮影により行う。その長所としては、ストロボ光を利用するため、実際の色調を再現でき、大きなISO感 度のフィルムを使用することにより遠方まで観察できること(岩質によっては20m 程度まで可能)である。また、スチール写真はCCDカメラのビデオシステムに較べ分解能が優れているのも長所である。写真撮影は、本体を20°づつ回転させ、計18枚で360°を撮影する。一つのボーリング孔で2深度の撮影を行えばステレオ写 真になり、立体視することで空洞内部の状況変化をより詳細に知ることが出来る(写真-2)。 レーザ測距部は地下洞内でカメラと連動してセンサー部を回転し、レーザ光の反射面までの距離を測定する。測定結果は図-1のようにまとめられる。写真-3には図-1に対応する地下空洞内部の写真を示した。観測に際して の方位はすべて内蔵方位計により北を0°とした磁北で示される。
 本装置の機器仕様を表-1に示す。

図-1 測定結果のまとめ
表ー1 機器仕様一覧表