2.ボーリング結果と断面図の作成

地層の構成

 合計21本のボーリング柱状図を測線ごとに図-2にまとめました。柱状図は幅を大きくすることで地層の重なり方を分かり易く示してあります。個々の地層の厚さの変化は隣接する柱状図を比較することである程度読みとることができます。ここでは亜炭層について連続状況を推定することで、各測線に沿った地質断面の概況を示しました。これらの柱状図から次のようなことが明らかになりました。
1) この地区の地層には、少なくも2枚の亜炭層が挟在する。上位の亜炭層は厚さ1~3mで下位層は2m以下である。確認された空洞は、すべて上位層を採掘したものである。空洞の高さは平均0.6mであった。
2) 2枚の亜炭層の間に、火山灰が見出されることがある。火山灰層はその組成・性状から同一の火山起源であることが判明した。ただ必ずしも連続していない。
3) 亜炭層付近には、粘土に富み砂層を挟む地層が分布する。
4) 上部には厚い砂礫層が分布する。
5) 下部は砂層に富み一部に砂礫層が認められた。

図-2 測線ごとのボーリング柱状図と亜炭層の対比結果を示す模式図

地層の対比と断面図の作成

 地層の対比(同じ層と判断すること)で重要なのは鍵層です。ここでは火山灰が最も重要な鍵層になります。次いでその上下にある厚い亜炭層も鍵層として使えそうです。このような信頼できる鍵層がない場合は、非常に慎重なコア観察が必要になります。図-2では、火山灰との関係を基に亜炭層の対比を行い、これを断面図に示しました。鍵層のつながりが合理的に解釈出来れば、解析作業は大きく前進したことになります。
 地層の対比で最も悩まされるのは断層の存在でしょう。名古屋東部丘陵には大小無数の断層があり、東海層群の地層も断層で寸断されていると言えます。図-2でも、A-A’, B-B’, C-C’の3断面では、鍵層が大きくずれていることから、断層が存在することはほぼ確実です。正確な位置や断層の数は不明ですが、この断層の活動で南東側が約30m上昇したと推定されます。
 ただ若干地層の違いがあるからと言って、すぐに断層をひくことは間違いのもとです。図のD-D’断面のB-15とB-16の間には明瞭な食い違いがありますが断層とするにはデータが足りません。このような場合は対比が可能と思われる地層を点線で示し、結論は今後の調査にゆだねるのがよいでしょう。