3.「土のう」積みによる軟弱地盤の強化

 左図は、N値1~2という軟弱地盤上の構造物のベタ基礎を補強 するために設計した「土のう」配置図である。 軟弱地盤の場合、建物の荷重ができるだけ分 散するように、「土のう」を幅広く、深くまで多数配置する。またベタ基礎の下に も、「土のう」を2段全面に配置して基礎を強化してある。「土のう」積みにあたっ ては、一段積むごとに転圧機で十分締め固める必要がある。建物については多くの 施工例があるが、いずれも安定しており、更に交通による建物の振動が激減する効 果も見られた。

 「土のう」による補強は、水浸したヘドロ状態の超軟弱地盤の場合も大き な効果を発揮している。軟弱地盤が水浸していれば砕石をいくら入れても収 まらないが、砕石入り「土のう」なら見事に収まる。これは「土のう」に透 水性があるため、ヘドロに含まれる水が徐々に「土のう」を通って排出され、 次第に圧密を受けて行くことによる。事実、時間の経過と共に「土のう」の 内部材料は粉砕され締め付けられて固化し、「土のう」下のヘドロも脱水し て安定化していることが確認された。宮城県S市の軟弱地盤状で施工された 「土のう」積みの施工状況と、「土のう」積みがほぼ完了した状態を写真1、 写真2に示す。

写真1 ヘドロ・水浸状態での 「土のう」積み工事図
写真2 「土のう」による補強工事の概況