5-2 連続性調査工
図-9 連続性調査測定結果
図-10 充填孔と観測孔での充填高の変化

 実際に充填材を注入する充填孔と、充填中における圧(エアー)抜き孔の役割を持つ到達孔、そして充填材の動向監視に使用する観測孔との間に繋がりがある事により、各孔が役割を果たし、計画通りの充填工事が施工できる。連続性が無い場合には、充填計画に支障をきたす事が考えられるため、連続性調査を実施した。
a)調査方法
 実施方法としては、充填孔より連続して注水を行い一定間隔(5分間隔)にて到達孔・観測高の水位を測定しその変位(上昇高)を確認する。試験時間は給水等の都合上30分間とし、注水速度は6.0m3/h(最速)とした。(総試験注水量3.0m3)

b)調査結果
 連続性調査水位変動グラフに示すとおりであり、時間経過(注水量の増加) と共に、各孔にて水位が上昇している状況が確認されている。水位の上昇が少ない原因は、古洞(空洞)の規模に対して注水量が少ないためと考えられる。しかし、注水に呼応するように水位が上昇している状況が確認されている事を総合的に考慮すると、充填孔・到達孔および観測孔相互の間に連続性があると判断される。

5-3 充填高測定

 充填孔における充填材の高さ変化(青線)は、充填と共に徐々に上昇し、8月30日の夕刻には空洞天端より2m程度上昇し充填を完了した。翌日の8月31日に充填工を到達孔に移動した後もさらに約2.5m上昇し、翌日以降は充填材の上昇は認められず、固結化したものと考えられる。
 観測孔における充填材の高さ変化は、充填と共に徐々に上昇し8月30日に充填が完了した時点で急激に上昇したが、その後はほとんど変化せず、充填材は固結したものと考えられる。
 到達孔における充填高の変化は充填初日より5日間は変化無く、6日後より充填管完了時まで徐々に上昇している。充填孔での充填完了後到達孔での充填に移り、9月7日に完了した。(図-10)。

図-11 充填完了の確認手順

5-4 充填完了の確認

 今回はボーリング孔が少ないため、充填完了の確認には特に慎重を期した。図11に完了確認の手順を示した。

5-5 品質管理試験と環境管理
表-5 1週後と4週後の一軸圧縮強度の比較
図-12 充填時の水準測量結果

a)ブリージング測定
 ブリージングとは、セメントを用いる材料が固化する時に分離した水が表面に浮きでてくる現象である。充填材のブリージング測定は、充填時の午前・午後の2回において実施している。今回は、すべての充填材においてブリージング率0%であり、きわめて良質であったと言える。
b)一軸圧縮試験
 一軸圧縮試験は充填時における充填材強度を管理する目的で実施したもので、1週強度(σ7)を1日午前、午後で1回ずつ、4週強度を充填前期、中期、後期の3回行なった。目標強度は充填協会の充填施工マニュアルに従い4週強度で50kN/m2以上とした。充填材の一軸圧縮試験の充填前期、中期、後期の3回行なった1週強度と4週強度の関係より日々の1週強度を4週強度に換算するとすべて目標強度に達しており、良質な充填材であったと判断される(表-5)。
c)水準測量など
 住宅地での工事であったため、周囲の地盤・構造物への影響を管理する目的で、水準測量・傾斜計による動態観測を継続実施した。その結果、充填工事による環境への影響はほとんどなかったと言える。一例として水準測量の結果を図-12に示した。

6.充填結果と評価

表-6 充填孔と到達孔での充填量

 表-6に示すように、合計充填量は約450m3で計画量(310m3)の1.5倍となった。これは到達孔で確認した空洞高が1.3mで、当初の予想より大きかったこと、空洞の傾斜の関係で到達孔での充填量が増加したことによる。ボーリング孔僅か3本で、いずれも空洞を捕捉できたことが、本工事の成功に結びついたと考えられる。            

(2008年2月記)