飛島建設株式会社 山本孝男
執筆:2020年6月
1.はじめに
岐阜県御嵩町には、昭和10年代から30年代にかけて盛んに採掘された亜炭採掘跡の空洞が存在する。御嵩町を通過する国道21号線直下も各所に空洞が存在するため、当該空洞を充填することで道路の陥没被害等を防止することが計画された。本工事は御嵩町内の国道21号直下の亜炭坑を本格的に充填した最初の工事である。
2.工事概要
工事名:平成26年度亜炭坑充填工事
工事場所:岐阜県可児郡御嵩町比衣地内
発注者:国土交通省 中部地方整備局 多治見砂防国道事務所
施工者:飛島建設株式会社
工 期:平成26年10月29日~平成27年3月27日
施工内容:施工延長 L=80m(削孔範囲)、L=62m(充填範囲)
充填孔・充填到達観測孔設置工 各N=10本
計画充填量 V=1,024m3(端部充填材)
実績充填量 V=1,288m3(端部充填材)

図1 施工位置
3.空洞の分布状況
事前調査および充填孔削孔の結果、GL-7m~-10m程度の深さに、厚さ0.5m~2.2m程度の空洞が全体的に存在していた。当該充填範囲は可児川のすぐ北側に位置しており、北から南への傾斜地であることから空洞も北から南へ傾斜していた。また、分布している空洞の標高が可児川の河床より低く、空洞内は地下水が溜まっていて、被圧している状態であった。充填孔の削孔により空洞確認ができた場所は、地下水位がGL-0.2m程度まで上がってくる状態であった。
4.施工方法
主要国道直下の空洞充填であることから、片側車線占用を行い、片側交互通行により施工する必要があった。施工は図2のように上り車線を占用して当該車線から充填孔を設置して充填を行った。

図2 充填工標準横断図(道路直下)
5.充填工
5.1 充填孔・充填到達観測孔設置工および充填
充填孔・充填到達観測孔設置工および充填の計画と実績を図3に示す。また充填孔・充填到達観測孔の施工数量を表1に示す。計画削孔数量がN=10本+10本=20本に対して実績削孔数量はN=13本+16本=29本であったので、空洞率は20÷29≒69%と推定された。計画段階では空洞率を70%程度と考えていたので、大きな差はなかった。
計画の充填量と実績の充填量を表2に示す。計画に対して実績の充填量が126%であった理由は、空洞底盤が北から南に向かって傾斜し、空洞の厚みが厚いところは可児川に向かって空洞が広がっていて充填材が勾配の下部に流れやすい状況のなかで、南北側の充填到達確認孔で充填材の到達が確認できるまで充填をした結果、流動性を制御した端部充填材を注入しても勾配の低い方へ充填材が食い込んだためと考えられる。

図3 充填工計画・実績平面図
表1 削孔数量比較表(計画・実績)

表2 充填量比較表(計画・実績)

5.2 充填材の配合
充填材の計画および実績配合表を表3に示す。表より充填材の配合は計画通りの配合で施工し、強度規格値qu(28)=100kN/m2以上を満足できた。
表3 充填材配合表(計画・実績)

6.品質管理
充填材の品質管理項目および規格値に対する実績値を表4に示す。品質管理項目において、規格値に対して実績値はすべて満足いくものであった。
表4 充填材の品質管理実績表

7.計測・環境管理
7.1 計測管理
工事箇所周辺の地盤および構造物変位の管理は、国道と民地の境界に傾斜計を20mピッチに設置して充填作業中に計測管理を行った。傾斜計の管理値は一般構造物における管理値0.04°(7/10000)以下とした。計測結果はX方向で最大値が0.029°、最小値が0.018°、Y方向の最大値は0.022°、最小値が0.018°であり、管理基準値内で問題なかった。
7.2 環境管理
環境管理については、充填施工範囲周辺に設置した観測井戸で地下水の水質試験(水道法10項目+六価クロム)を充填前・中・後に各1回行なった。また、充填着手前に1回、充填中に毎日1回、充填終了後2週間毎日1回、水質試験(pH・SS・水位)を行なった。いずれも変化がなく充填による影響がないことを確認した。
8.出来形管理
出来形確認として、充填完了後に充填範囲内の2箇所において確認ボーリングを行った。ボーリングにより空洞内へ入れた充填材が空洞の天端まで確実に充填されているかの確認と、空洞内の充填材が一軸圧縮強さの規格値(100kN/m2)以上の強度に達しているかの確認であった。確認ボーリングの結果、空洞内の充填材は空洞天端まで確実に充填されていることを確認した。また、一軸圧縮強さについては、1箇所目が158kN/m2、2箇所目が211kN/m2であり、規格値以上であることを確認した。
9.おわりに
当該工事の特徴として、国道21号の片側1車線を終日占用して、その占用内で充填工事を行う工事であったために、第三者災害や交通災害のリスクが極めて高い工事であった。特に充填孔および充填到達観測孔設置工で使用したパーカッションドリルは片車線占用幅一杯になるほど機械幅が広く、さらに斜め削孔行うことから、著しく施工性の悪い施工であったが、無事故で施工することができた。
出典
一般社団法人充填技術協会:-特別記念誌-地下空洞充填事業の調査・施工研究史,pp.134-135,2020.