飛島建設株式会社 竹内健一
飛島建設株式会社 山本孝男
執筆:2021年7月
1.はじめに
平成26年度(2014年度)以降、岐阜県御嵩町では経済産業省補助事業として亜炭鉱跡の防災工事が行われてきた。このうちキラ充填で施工された工事は限定充填工法によるものであった。そのような状況のなかで、飛島建設株式会社は限定充填工法と同等の機能を持ちながら水ガラスの使用量を減じてコストダウンを図る新技術の「二層端部限定充填工法」を開発した。本工事は二層端部限定充填工法を適用した最初の充填工事である。
以下、現場での施工結果をもとに施工性、品質、出来形、コストについて検証した結果を示す。二層端部限定充填工法は端部充填材に比べて水ガラス添加量が少なく勾配の緩い充填材(第2端部充填材)を先行充填し、その上に端部充填材を充填することで全体として水ガラスの使用量を低減する工法である。図1に二層端部限定工法の概念図を、図2に限定充填工法と二層端部限定充填工法の施工手順を示す。

図1 二層端部限定充填工法概念図

(a) 限定充填工法(従来技術) (b) 二層端部限定充填工法(新技術)
図2 充填施工手順
2.工事概要
工事名:南海トラフ巨大地震亜炭鉱跡防災対策事業第1期②防災工事
発注者:御嵩町
施工者:飛島・天野特定建設工事共同企業体
工 期:平成31年2月~令和3年2月
施工対象面積:131,170m2
充填量:端部充填材:3,347m3、第2端部充填材:3,159m3、中詰充填材32,664m3、合計39,170m3
3.施工性、品質、出来
3.1 品質目標値と配合
表1および表2にそれぞれ品質目標値と配合を示す。表2より、水ガラスの単位量は端部充填材の48.8kg/m3に対して第2端部充填材は8.0kg/m3(約16%)と大幅に少ない。
表1 充填材の品質目標値

表2 充填材の配合

3.2 施工性
ゲルタイムの平均値が第2端部充填材は9.2秒であり、端部充填材の8.0秒に対し1秒程度遅い。また、テーブルフローの規格値も第2端部充填材は180~240㎜と端部充填材の140~180㎜に対し幾分柔らかくなることから、配管圧送時充填孔口圧力を低く抑えることで配管の脈動を低減させる効果があり、施工性は良好であった。
3.3 品質
六価クロムの溶出試験において、土壌環境基準0.05mg/L以下に対し、すべて0.04mg/L未満の試験結果であった。また、ブリーディング率は規格値の3%以下に対し、第2端部充填材および端部充填材ともに平均値は0.1%であった。一方、一軸圧縮試験の第2端部充填材の平均値は215kN/m2、端部充填材の平均値は251kN/m2であった。単位セメント量は90kg/m3と両配合は同じであるが、端部充填材の強度が多少大きい傾向にあった。いずれの材料も規格値50kN/m2以上に対し同程度上回った。
3.4 出来形
二層端部限定充填工法は、第2端部充填材の各充填孔に対する計画の充填量を定め、これを目安に先行注入していき、その後端部充填材を注入する。第2端部充填材の計画量3,239m3に対し実充填量は3,159m3であり計画量の97.5%であった。一方、端部充填材の計画量3,372m3に対し実充填量は3,347m3であり計画量の99.3%であった。どちらも計画量に近い充填量が確認できたことから、所定の出来形が形成されたと推察できる。
4.コストの比較
当該工事において、二層端部限定充填工法で施工して得られた実績と、当該工事を限定充填工法により施工したと仮定して算出したコストの比較を行った。両工法の材料費、施工費、充填孔に取り付ける支管配管工について比較検討した結果を表3に示す。
第2端部充填材の材料費は端部充填材の0.53倍と、約半分である。二層端部限定充填工法の第2端部充填材は計画量を目安に施工するため、頻繁な配管の段取り替えがあり、日当たりの充填量が減少する。実績から、端部充填材の施工手間を1とした場合、第2端部充填材の施工は1.3倍になることが分かった。また、第2端部充填材を充填し、養生期間を置いて同一の充填孔から端部充填材を充填するため、支管配管を設置・撤去を2回行う必要がある。これにより第2端部充填材の支管配管費は2倍となる。前記の比率で概算の積算をすると、2層端部限定充填工法で施工した場合のコストは限定充填工法で施工すると仮定した場合と比較して97%のコストで施工できたこととなり、約3%のコストダウンを図ることができた。
表3 コスト比率

5.おわりに
空洞充填工事のコストダウンを目的に、従来の限定充填工法の機能をそのまま維持できる新技術の二層端部限定充填工法について、施工結果をもとに施工性、品質、出来形、コストの有効性を確認できた。今後も更なるコストダウンに向けて鋭意検討していきたい。
出典
竹内健一,杉浦乾郎,坂本昭夫,山本孝男,和田幸二郎,宮沢義博:二層端部限定充填工法の実工事への適用と検証,第56回地盤工学研究発表会,2021.